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顎関節症治療

以前からくらべると、顎関節症という言葉もかなり一般的になってきたのではないでしょうか。顎関節症とは、顎の関節周囲に起こる様々な症状を合わせた病態です。

顎関節症とはどんな病気なのか? 

顎関節症は主に以下の4つの症状が出ます

  1. 口が大きく開けられない
  2. 口を開けようとしたり、ものを噛むと顎のあたりが痛む
  3. 口を開けたり閉じたりすると顎のあたりで音がする
  4. 顎のまわりや首の辺りの筋肉が痛い

 
特に日常生活に支障のない方々でも、上記のような症状をお持ちの方は結構いらっしゃるのではないでしょうか。この顎関節症は、2人に1人が一生の間に経験するとも言われているようです。顎関節症は、そんなに心配するような病気ではないということです。ほとんどの人が、このような症状が始まっても、しばらくするとだんだん楽になり、あまりひどい状態にならず治ってしまったり、慣れてしまったりします。
 
ここで大切なのは、顎関節症がどんどん悪くなってしまうものではないということです(self-limiting :自己限定性 と言われています)。

顎関節症の原因とは?

それでは、顎関節症の原因は何でしょう。一時期、かみ合せが悪いと顎関節症になってしまうと考えられていました。しかし最近では、顎関節症の症状が現れるのには以下のようにいろいろな要因が複合的に関係していることが分かってきました。

  • 顎の関節やそのまわりの筋肉の弱さ(小さな下顎頭・左右下顎頭形態差など)
  • かみ合わせの悪さ(深いかみ合わせ・奥歯の反対咬合など)
  • 顎の関節やそのまわりの筋肉に負担をかける習慣や癖(歯の接触癖・夜間の歯ぎしり、くいしばりなど)
  • 精神的な要因(神経質な性格・不安やうつ状態など)
  • 精神的ストレスからの筋緊張(家族の心配事・介護・仕事のプレッシャー・家事労働・受験勉強など)
  • 環境的な要因(PC作業・緊張持続環境・エアコン)

 
これらの要素が積み重なり、個人それぞれのあるラインを超えると顎関節症が発症してしまうと理解されています。特に3.の要素は非常に影響が大きく治療の要にもなってきます(後述)。

顎関節症の治療法

僕が大学を卒業するよりもっと前には、顎関節症の治療のために外科手術を行っていたこともあったと聞きます。ただ、思ったような治療成績を残すことが出来ず、この対応はすたれてしまったようです。20数年前に僕が授業で習ったのは、非可逆的な治療はできるだけ避けようということでした。
非可逆的治療とは、「手術を行う」とか「歯を削る」といったような、治療する前の元の状態に戻せないような治療のことです。
先程述べたように、顎関節症は自然と症状が治まってしまうことも多いので、非可逆的な対応ではなく、あくまでも保存的な対応が望まれます。

  • 鎮痛薬投与
    • 痛みが強い場合には、鎮痛目的で痛み止めを処方いたします。
  • マウスピース治療
    • 上の歯列(もしくは下の歯列)にプラスティック製の薄いマウスピースをつけ、かみ合わせの異常を一時的に修正したり、顎の関節や、そのまわりの筋肉の安静を保つのです。マウスピースというと、スポーツをするときに使うようなごついものを想像される方も多いのですが、そんなことはありません。通常は、厚みも5mmないぐらいです。
  • 高周波治療
    • 痛みのある部位に対して、高周波をあてます。炎症を抑えたり、痛みを緩和させる働きがあります。

これらの治療はどちらかというと、対症療法の側面が大きいと思われます。実際の顎関節症治療においては、これからお話しをするセルフケアの重要度は日増しに大きくなっていると感じます。顎の関節やまわりの筋肉に負担をかけてしまう習慣や癖を治そうというものです。

顎関節症をセルフケアで治そう

さて、顎の関節やまわりの筋肉に負担をかけてしまう習慣や癖にはどのようなものがあるでしょうか。歯ぎしりやくいしばりなどを、頭に浮かべる方が多いではないでしょう。特に寝ているときのくいしばりの力は、100kgを超える程になることもあり、顎などの組織にダメージを与えてしまうことは想像にたやすいです。
一方で、このような強い力だけではなく、ただ単に上の歯と下の歯が軽く触れ合っているだけでも顎関節症になることがわかっています。これは『不必要な上下の歯の接触させる癖(Tooth Contacting Habit〈TCH〉)』と呼ばれています。
上下の唇を接触させていても上下の歯は前歯で1~2mm、奥歯でも0.5mmの隙間を維持して離れています。上下の歯が離れていると、顎はリラックスして力が抜けています。この時、舌先は上顎の前歯の付け根のあたりに軽く触れています(この位置をスポット・ポジションといいます)。

歯の接触癖(TCH)があると、咬む筋肉は活動し続けます。長時間に及べば当然疲労します。しかもこの筋肉が働くと顎の関節が押さえつけられ、強く摩擦しすべりが悪くなります。こうして顎の関節の動きが阻害され、血行が悪くなって痛み敏感になり、顎関節症が起こると考えられます。
先程お話したように、顎関節症はさまざまな要因が重なりあって発症する病気なので、このTCHだけが顎関節症の原因という訳ではありません。しかし、さまざまな要因のなかでもTCHがかなり高い割合を占めていると考えられています。ですから顎関節症の治療において、このTCH改善訓練は非常に有益であり、とても保存的な対応と言えます。

TCHを改善するために

まずはTCHがないかどうか、確認しましょう(ご自身では分からないことが多いので注意が必要です、実際には非常に多くの方が癖として持っているというデータがあります!)。
もしも、自分にTCHがあると気がついたら(もしくは、歯医者さんで指摘されたら)、決して「何とか気を付けて治さないと」と頑張りすぎてはいけません。慣れないことを無理やりやろうとすると、かえって緊張や疲労が強まってしまうことがあるからです。
ご自分の職場やご家庭で、目に留まる場所、ありとあらゆる場所にメモやしるしを貼ります(最低でも10枚)。このメモをふと目にしたときにリラックスするようにしましょう。こうすることで、「いつも意識していなくては」という緊張に縛られずにすみます。

 

メモに気づいたときの脱力法
1. 歯を噛みしめながら、鼻から息を大きく吸い込み、それに合わせて両肩を持ち上げる。
2. 口を開き、口から一気に息を吐き出しながら肩を落とす。
3. まわりに誰もいなければ「あっ」と声を出す。
※この動作をメモを見た瞬間に1回だけ行う。2回3回とする必要はありません。
※外出時に思い出して行う必要はありません。

脱力に慣れてくると、「歯が接触していると疲れる」という感覚を少しずつ感じられるようになります。こうして、歯が接触すると気がつくようになるでしょう。
気軽に、まずは気づくことからはじめてみましょう。「歯と接触させる癖が顎関節症の原因になっている」という認識を持つことがトレーニングの第一歩です。

顎関節症を改善するチェックリスト

~歯の接触癖(TCH)を含めて、こんな習慣にも気をつけましょう!
  1. 生活状態の改善をしよう
    • 頬杖や猫背をやめる
    • 受話器の肩ばさみ、顎への押し付けはやめる
    • 下顎を突き出すような姿勢はやめる
    • 爪や筆記用具を噛む行動はやめる
    • うつぶせ読書はやめる
  2. 緊張の持続を防ごう
    • 緊張する仕事、車の運転、試験勉強、精密作業などで緊張が続くときは休憩をはさむ
    • 同じ姿勢を長時間続けるときは、途中でストレッチなどの緊張緩和をはかる
    • パソコンの入力作業には途中にリラックスタイムをはさむ
  3. 食事をする際の注意
    • 痛みが強いうちは硬い食品を避ける
    • 痛みがやわらいできたら硬い食品を食べてもいいが、疲労を感じたらやめる
    • 筋肉が疲れやすいうちはガム噛みを避ける
    • 痛みが強いうちは痛みの少ない側で咀嚼していいが、痛みがやわらいできたなら、なるべく両側の奥歯を使う
  4. 睡眠時の注意
    • 十分な睡眠時間を確保する
    • 歯ぎしりがあるのなら、前日の行動やストレスと関係している場合があります。起床時に顎の疲れを感じたら「歯ぎしり日記」として記録しておくとよいでしょう。
    • 高い枕・硬い枕は要注意
    • なるべく仰向けで寝る
    • 手枕や腕枕をやめる

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院長 安井丈富のブログです。医院でのこと、研修会参加、歯科に関する情報、プライベートなどについてつづります。