札幌市北区・中央区から通いやすい歯科・歯医者 「オリエント歯科」札幌駅西口から徒歩3分ヨドバシカメラ斜め向かいの歯科医院です
 
 
   
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むし歯の治療

お口の中の病気としては、やはり、むし歯が一番に頭へ浮かぶのではないでしょうか。
かつては、多くの方々に沢山のむし歯がある「むし歯の洪水時代」と呼ばれた時期もありました。しかし昨今では、予防意識の高まりもあり、ずいぶんとむし歯の数は減ってきたようです。とても良いことだと思います。
むし歯に対して多くのことが分かってきたことも、大きく影響しています
「weltec むし歯の進行」から

今までのむし歯治療

 基本的に、ヒトは傷を自分で治すという力を持っています。切り傷が治ったり、骨折したところの骨がくっついたりというものです。しかし残念ながら、歯は穴のあいたところが自然と埋まっていくということがありません。
そこで、むし歯を「早期発見・早期治療」するという考え方が生まれました。僕も二十数年前に、大学ではそういう教育を受けました。

当時、奥歯では、いわゆる銀歯で治すことが普通でした。その際には、むし歯になった部分だけではなく、なりそうな部分(この時点ではむし歯ではない部分です)も含めて被せる事となっていました (予防拡大といいます)。

細やかなむし歯の診断や発生原因の検討もないまま歯を削ったりしたことも、あったかと思いますが、良かれと思ったむし歯の治療が、歯が残らないという事になってしまいました。

『う蝕治療のガイドライン』

2000年、FDI(国際歯科連盟)がMIという概念を提唱します。このMIとは、minimal interventionの略語で、「最小限の侵襲」を意味します。これは、今までの予防拡大や削って治すという中心の治療から、むし歯菌に感染している部分を最小限に除去し(もしくは縮小させ)、歯の保護を基本とした治療を行うという概念です。
 
日本においても、このMIの考え方を受け「う蝕治療のガイドライン」が日本歯科保存学会から発表されました(第1版は2009年、第2版は2015年に公開。第3版は2020年に公開予定)。

この中で、削って治す必要があるむし歯は、以下の5条件と示されました。

  1. 歯面を清掃乾燥した状態で肉眼あるいは拡大鏡でう窩(むし歯の穴)を認める。
  2. 食片圧入や冷水痛などの自覚症状がある。
  3. 審美障害の訴えがある。
  4. エックス線写真で象牙質層の1/3を超える病変を認める場合。
  5. う蝕リスクが高い。

オリエント歯科ではこのガイドラインにならい、なるべく歯を削らない、神経を取らない、歯を抜かない治療を心がけています。 ですから、むし歯になってはいますが、このガイドラインにおいて削る必要がまだないと判断された場合には、経過観察とそれ以上むし歯が進まないようにすることをご相談します。 「えっ!? むし歯をそのままにしておくのですか?」とお話される方もいらっしゃいます。ですがこのガイドラインにならい、生涯にわたって歯を出来るだけ残すために、状態をご説明しご理解いただいています。

ところで、歯髄(歯の神経)って何?

歯にむし歯ができると痛みを感じますよね。これは、歯の中の歯髄(しずい)と呼ばれる部分に、神経が通っているからです。歯髄には神経の他に血管が通っています。この硬い歯にも血が通っているんですよ。これで、歯に酸素を運んだり、免疫などの防御反応を伝達するなど重要な役割をしているのです。
歯の神経がなくなると痛みは感じなくなります。しかし、歯の神経を取り除くということは、血管を含め歯髄全体を取り除くことになります。
そのため、神経を取り除いた歯は、血が通わなくなり栄養などが届かずに、歯の物性が著しく落ちてしまいます。例えるなら、枯れ木のようになってしまうということです。神経のある歯が生木です。生木と枯れ木の差って、歴然ですよね。生木はしなりがありますが、枯れ木はポキッておれてしまいます。
また、歯の神経がないと、再びむし歯になったときに痛みを教えてくれないので、その発見が遅れてしまうことが考えられます。
 

 
 

 
歯の神経(歯髄)は、出来るだけ取らないようにすることが大切な事が分かります。
 

治療技術の進歩

ここ四半世紀、歯科技術の進歩革新は凄まじいのではないでしょうか。特にこのむし歯治療における、『接着』の技術は治療そのものを変えたと言っても過言ではないと思います。この技術と詰める材質の改善が、先のMIという概念を可能にしたのです。

むし歯治療の実際

むし歯の進行の仕方や症状は人さまざま、なってしまった歯やそのなる場所によってもいろいろなかたちを示します。
むし歯が歯の表層に限られる場合は、削らず再石灰化を期待します。むし歯が大きくなると歯を削り、詰め物やかぶせものをつける治療を行います。むし歯がさらに進行して歯髄(しずい)に達すると、歯髄を除去(抜髄(ばつずい))する必要があります。その場合の多くは土台をたててかぶせ物をする治療が必要になります。

むし歯の進行段階に合わせ、実際の治療についてお話ししましょう。

1.削る必要のないむし歯の場合

むし歯は、口の中にいる細菌が酸を出して歯を溶かす現象です。 歯の表面におけるごく初期の段階では、溶けた部分が元にもどることがわかってきました(この現象を再石灰化とよんでいます)。このような場合は、フッ素を利用したり、再石灰化が期待できる様なタブレットやガムを使用していただきます。

では、さらに歯のエナメル質の中まで進んでしまったむし歯ではどうでしょう。先ほど『う蝕治療のガイドライン』についてお話ししました。削って治さなければいけないむし歯は、象牙質の1/3まで進行したものと。ですから、そのガイドラインからいきますと、このむし歯は基本的に治療の必要がまだないということになります。

しかし、前歯などで見た目を悪くしているようなケースでは、患者さんとご相談し治療を行う場合もあります。また、非常にむし歯の進みやすい方も治療した方が良い場合もあります。治療には、コンポジットレジン(歯の色をした樹脂)を埋めます。

2.削って詰め物をする必要がある小さなむし歯の場合

「むし歯治療のガイドライン」にある様に、象牙質の1/3まで進行したむし歯はいよいよ、実際の治療対象となってきます。治療としては、コンポジットレジン(歯の色をした樹脂)を詰めることが多いです。

コンポジットレジンは歯とほぼ同じ色ですので、特に前歯で審美性が要求される場合や、むし歯の穴が小さいときには、このコンポジットレジンが多く用いられます。また特殊な光を当てることによってレジンが固まりますので、口の中で直接レジンを詰めて固まらせることができます。つまり型を取るなどの工程が必要ないので、一般的には一回の治療で終了します。

3.詰め物やかぶせ物を口の外で作る大きなむし歯の場合

むし歯の範囲がある程度以上大きくなってしまうと、その穴に直接詰めることが難しくなってしまいます。このような場合は、型をとってその型に石膏を流し込んで歯の模型を作製します。この模型を使って金属やセラミックなどの詰め物やかぶせ物を作り、それを歯に詰めます。
しかし、むし歯が非常に歯の中の歯髄(神経)まで近づいており、強い痛みがある場合にはこの神経を取るか、取らないのかという大きな選択をしなければいけません。歯の神経はなるべく取らない方が良いということはお話ししました。歯の神経があるかないかで、その歯の寿命が大きく変わってしまうのです。日々の診療で、如実に感じています。 
ですが、実際には神経を取らざるを得ない場合があるもの事実です。何でもかんでも神経を取らないようすれば良い、ということではありません。

4.むし歯の範囲が歯髄(神経)まで到達してしまった大きなむし歯の場合

むし歯が歯髄(神経)まで到達してしまった場合や細菌が歯髄(神経)に感染してしまった場合は、歯髄(神経)を除去(抜髄)する必要があります。抜髄は一般的に「神経を抜く」と表現されることがあります。 歯髄の治療は根管治療とよび、歯髄だけではなく歯髄の周りにある感染した象牙質も含めてリーマー・ファイルと呼ばれる針のような器具で歯髄の入っている穴を削り取ってゆきます。その穴に水酸化カルシウムなどの消毒薬を数回入れて、最終的にはゴム質の材料を詰めて、再び感染が起こらないようにします。
一般的にはその歯髄の入っていた穴に金属やレジンで土台をたてて、その土台の上にかぶせ物をするという治療が行われます。

5.むし歯の進行が著しく、根だけになってしまった場合 

たとえ根だけになったとしても、4.の場合のように土台をたてた上でかぶせ物をすることが可能なこともあります。
しかし、根の方までむし歯が進んでしまうと、残念ながら抜かないといけない場合が多くなってしまいまうのは事実です。
ですが、ケースによってはむし歯が根の方まで進んでしまった場合でも矯正的挺出(エクストルージョン)、外科的挺出、クラウンレニングスという治療方法によって歯の保存が可能な場合もあります。
なるべく歯を抜かない治療はこちら →

それにつけても、歯周病の怖さよ

多くの方にとって、むし歯は非常に関心のあることだと思います。
歯の色が変わっていたり、穴が開いていたり、冷たいものがしみたり… このように、むし歯は自覚しやすい病ですよね。
 
でも、むし歯と双璧をなすお口の中のトラブル、歯周病は本当に悪くなるまで自覚できないという非常に厄介な問題なんです。歯科治療の進歩により、かなり進んでしまったむし歯でも、かなり自然な感じに治す事が可能になってきました。この歯周病、悪くなってしまったものは、元の状態に戻すことがほぼ不可能に近いのです。
むし歯治療のご相談にいらしていただいても、実は歯周病の方が深刻だったという患者さんも少なくありません。「むし歯の治療よりも、歯周病の治療が必要ですよ」と、ご説明しても、驚かれる方もいらっしゃいます。
それほどに、むし歯というものは「なってしまったら、急いで治さなくてはならないもの」という認識が強くなってしまっているのですよね。
 
「歯周病のほうが、ずっと怖いんですよ」と改めて言いたいと思います。

また、歯周病が進んでしまった方は、歯ぐきが下がってしまい歯の根元が露出してしまします。この歯の根というのは、とてもむし歯になりやすく、しかも進行が早いという悩みを抱えています。
歯周病の治療をしっかり行い、なんとか歯の保存には努めたものの、むし歯にやられてしまうというトラブルは避けたいものです。

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院長 安井丈富のブログです。医院でのこと、研修会参加、歯科に関する情報、プライベートなどについてつづります。